カフェ内装デザインとは?居心地と個性を両立する空間づくりの基本

アルベルゴ カフェ ミケランジェロの店内

カフェを開業したりリニューアルを考えるとき、「どんな雰囲気にしよう?」と悩む方も多いでしょう。
メニューやサービスと同じくらい、お店の“内装デザイン”は大切です。
おしゃれさだけでなく、居心地の良さや「また来たい」と思ってもらえる空間づくりが、ビジネスの成功に直結します。

この記事では、カフェ内装の役割やコンセプト設計の重要性、長く愛される空間のポイントから、人気テーマ別デザイン例、さらに開業・リニューアル時の費用感やプロセスまで、やさしく解説します。自分のお店に合う内装アイデアを探している方に、具体的なヒントをまとめました。

カフェの内装デザインの役割とは

カフェの内装デザインは、お店の第一印象を決める重要なポイントです。
外から見たときの雰囲気や扉を開けた瞬間の空気感で、お客様の気持ちは大きく動きます。
どんなに美味しいコーヒーや料理でも、居心地がよくなければ記憶に残りにくく、リピーター獲得にはつながりません。
一方、内装が魅力的だとお客様の滞在時間が自然と長くなり、追加注文や再来店のきっかけも増えます。

さらに今はSNSが集客の大きな力になっています。「このお店、雰囲気がいいな」「写真を撮りたくなる」と感じてもらえる空間は、自然な口コミで新しいお客様も呼び込みます。
また、快適な内装は働くスタッフのモチベーションも高め、サービスの質向上にもつながります。

コンセプト設計の重要性

カフェのデザインでまず大切なのが「どんな世界観を届けたいか」というコンセプトづくりです。
単に「おしゃれ」「落ち着く」といったイメージだけでなく、

  • 誰に(ターゲット)
  • どんな体験を
  • どんな雰囲気で

提供したいかを明確にすることで、ブレのない空間づくりができます。

たとえば「仕事帰りにほっとできる場所」を目指すなら、静かな音楽や読書向きの席配置が合います。
「友達とワイワイ過ごしたい」なら、明るい色づかいやグループ席、賑やかな装飾がぴったりです。
一度しっかりとコンセプトを決めれば、内装の素材や色、小物やBGMの選定まで一貫性が生まれ、「記憶に残るお店」に近づいていきます。

カフェと喫茶店の違い

お店の名前を「カフェ」にするか「喫茶店」にするかによって、内装や雰囲気に対するイメージも変わってきます。
以前は営業許可の種類が異なりましたが、2021年6月1日の食品衛生法改正により「喫茶店営業」は廃止され、法的な区分はなくなりました(現在は飲食店営業で統一)。

そのため、現在の違いは「文化や雰囲気」といったイメージで語られます。

  • 喫茶店:日本独自の喫茶文化がベースで、どこか懐かしく落ち着いた空間が特徴。木製家具やアンティーク調の装飾、間接照明が多く、静かにコーヒーや読書を楽しむ場として親しまれています。
  • カフェ:パリのオープンカフェや西海岸のカフェのような、明るく開放的なイメージ。大きな窓や現代的な家具が並び、友人との会話や仕事など、多様な用途で使いやすい雰囲気です。

どちらを選ぶかは「お客様にどんな時間を過ごしてもらいたいか」によって決めると、内装デザインも定まりやすくなります。

参考:厚生労働省「営業許可業種の解説」

カフェ内装デザインで押さえたいポイント

理想のカフェづくりは、見た目のデザインだけでなく、居心地や使いやすさ、メンテナンス性まで考えることが重要です。
失敗しにくいカフェ内装のために、次のポイントを押さえておきましょう。

レイアウトで動線と快適さを確保する

まず大切なのは、「お客様やスタッフが動きやすいレイアウト」です。
入口から席まで、トイレ・レジ・キッチンへのアクセスがスムーズなら、お客様もストレスなく過ごせますし、スタッフの作業効率も上がります。

通路の幅は最低でも650〜700mm(1人が通る場合)、人がすれ違う場所やレジ周辺は1100〜1200mmが理想的です。テーブル同士の間隔も600mm程度を目安にすると、混雑時も動きやすくなります。

長く過ごしてもらいたい場合は席と席の間隔を広めに取り、ソファ席や個室風スペースを用意すると落ち着いた印象に。
逆に回転率を重視したい場合は、効率的な席配置で席数を増やす方法もあります。

「この席数で動線は大丈夫?」という段階でも相談できます。
タクトデザイン工房なら、レイアウト・照明・素材選定まで、コンセプトを軸に具体化。物件探し〜OPENまでワンストップで伴走します。

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照明で空間の雰囲気を調整する

照明は、空間の雰囲気や居心地を大きく左右する要素です。
電球色(約2700〜3000K)はリラックス感、昼白色(約5000K)は明るく清潔な印象を与えます。
カウンターや読書席には手元をしっかり照らすスポットライト、ソファ席や奥まった席には間接照明やペンダントライトなど、用途やゾーンごとに照明の種類や明るさを調整すると心地よい空間になります。

また、「一室多灯」(全体照明・作業用照明・装飾照明の組み合わせ)を取り入れると、時間帯や天候によっても雰囲気を変えやすく、空間に奥行きや表情が生まれます。

カラーコーディネートで印象を決める

色使いは、カフェの印象を決めるうえでとても大切です。
色には気分を明るくしたりリラックスさせたりする効果があり、空間イメージの土台になります。

配色比率の目安として、「70:25:5」がよく使われます(60:30:10も一般的です)。

カラー種別 役割・特徴
ベースカラー 壁・床・天井など空間全体の約70%。白やベージュ、グレーなど落ち着いた色。 白、ベージュ、グレー
アソートカラー ソファや椅子など約25%。テーマ性や個性を出す部分。 ブラウン、ネイビー
アクセントカラー クッションや小物、壁の一部など約5%。空間のポイントになる色。 赤、グリーン

温かみのある雰囲気ならナチュラルな色に、個性を出したいときはアクセントカラーで差し色を加えるとバランスよくまとまります。

素材選びで質感と耐久性を両立する

内装素材の選び方も重要です。
木材や石、アイアンなど、コンセプトに合う素材を選ぶことで、空間の世界観がより鮮明になります。
木目や自然素材は温かみがあり、コンクリートや金属は都会的でスタイリッシュな印象に。

カフェは多くの人が日々利用するため、傷や汚れに強い素材、掃除しやすい床材やタイルなどを選ぶと、長く安心して使えます。
見た目のデザインだけでなく、耐久性・メンテナンス性も必ず考えておきましょう。

装飾で個性と世界観を出す

空間の仕上げとなるのが「装飾」です。
壁のアートや観葉植物、小物や季節ごとのディスプレイなど、少しの工夫で空間に個性が加わります。

観葉植物は生命感や癒しをプラスできるアイテム。お気に入りの本やコーヒー器具、黒板メニューや手書きのサイン、手作り感のある小物も、温かい雰囲気づくりに役立ちます。

ただし装飾は「やりすぎず」、意味や物語があるアイテムを厳選して使うことがポイントです。

テーマ別カフェ内装デザイン例

最近はカフェごとに明確なテーマを設定し、それに合わせた内装を施すケースが増えています。
ここでは人気の5つのデザインスタイルを取り上げ、それぞれの特徴とポイントをまとめます。

ナチュラル系カフェ

ナチュラルテイストのカフェの内装写真のコラージュ

branchi cafe nizza [ブランチ カフェ ニッツァ ]
木や植物など自然素材の温もりを活かしたナチュラル系カフェは、幅広い年代に親しまれやすい雰囲気です。
明るい木目やリネン、コットンなどの素材、白やベージュのやさしい色使いで、居心地の良さを演出します。

窓から自然光をたっぷり取り入れたり、観葉植物やドライフラワーをアクセントにしたりすると、森の中にいるようなリラックスした雰囲気を作ることができます。

インダストリアル・スケルトン系

インダストリアル・スケルトンテイストのカフェの内装写真のコラージュ

11Cafe
コンクリートの壁や床、アイアン素材、むき出しの配管などを組み合わせたインダストリアル系は、都会的で洗練されたイメージ。
黒やグレー、白をベースに、古材やレンガなど無骨な質感を取り入れると、スタイリッシュで個性的な空間になります。

フィラメント電球やスポットライト、アイアン×ウッドの家具も相性抜群。クリエイティブな層や若い世代に人気です。

レトロ・ヴィンテージ系

レトロ・ヴィンテージテイストのカフェの内装写真

アルベルゴ カフェ ミケランジェロ
昭和時代や欧米のヴィンテージ感を再現したレトロ系カフェは、懐かしさと新しさが共存する空間です。
濃い木目やアンティーク家具、型板ガラス、真鍮などを使い、マスタードイエローやモスグリーンなど深みのある色合いで統一します。

ステンドグラスやアンティーク調の照明、レトロなポスターや小物も写真映えします。大人世代やSNS好きな若者にも人気です。

和風・和モダン系

和風・和モダンテイストのカフェのカウンター写真

とろ生わらびもち OMOCHI STAND 名古屋北店
畳や障子、和紙、竹など日本の伝統素材を活かした和風・和モダン系は、静かで品のある雰囲気。
白や黒、グレーのベースに、木の自然な色や藍色・深緑といった伝統色を差し色にすると上品に仕上がります。

座面の低い家具や格子、間接照明を組み合わせれば、落ち着いた大人の空間ができます。
年齢層を問わず、海外からの観光客にも好まれやすいデザインです。

ポップ・キュート系 

ポップ・キュートテイストのカフェの内装写真

カフェハナモリ守谷店
カラフルな色使いやユニークな家具、遊び心のある装飾を取り入れたポップ・キュート系は、明るく元気な雰囲気。
ビビッドカラーやパステルカラーを大胆に使い、SNSでも写真映えしやすく、若い世代やファミリー層に人気があります。

ネオンサインやキャラクターグッズ、幾何学模様の壁紙など、楽しい工夫をたくさん取り入れて、お客様にワクワク感を届けましょう。

SNS映えを狙えるカフェ内装の工夫

今やカフェ選びの大きなポイントが「SNS映え」。
思わず写真を撮りたくなるような内装や演出は、自然な宣伝効果を生み出します。ここでは、SNSで話題になりやすい内装のコツを紹介します。

フォトスポットの設置

カフェの一角や壁に、写真を撮りたくなる「フォトスポット」を用意すると集客力がアップします。
アートやグラフィックを描いた壁、ネオンサイン、季節限定ディスプレイなど、「ここでしか撮れない空間」をつくることがポイント。

自然光が入る窓際席や、料理・ドリンクが映えるテーブル周りのデザインも、撮影意欲を刺激します。

インテリア・小物の統一感

空間全体の「統一感」を保つことも、SNS映えには欠かせません。
色や素材、テイストを揃えれば、どこを切り取ってもおしゃれな写真が撮れます。

ポイント例 内容例
食器・カトラリー ロゴ入りカップや陶器・ガラス素材など、内装に合わせて統一
メニュー・カップ 紙質やデザインを揃え、アクセントカラーを取り入れる
スタッフの服装 コンセプトやカラーに合ったユニフォームやエプロンで世界観を演出

こうした細かな部分にこだわることで、ブランドイメージが強化され、お客様のSNS投稿もお店の魅力的な宣伝になります。

カフェ内装の費用感と内装デザインの流れ

「理想のカフェにしたいけど、費用はどれくらいかかるの?」と不安になる方も多いでしょう。
ここでは最新の内装工事の費用相場と、計画から開業までの流れを整理します。
現実的な予算やスケジュール感を知っておくと、準備もスムーズに進めやすくなります。

内装工事の相場感

カフェの内装工事費用は物件の状態や立地、デザインのこだわりで大きく異なります。
現在の主な相場は以下の通りです。

物件タイプ 坪単価相場 メリット デメリット
居抜き物件 30万〜55万円程度 初期費用を抑えやすい、開業までが早い 設備が古い場合は修繕コストも、デザインの自由度が低め
スケルトン物件 65万〜100万円台(以上の場合あり) 理想の空間をゼロから作れる 費用が高額、工期が長い

厨房やトイレなど設備の新旧によっても費用は変動するため、事前の現地調査が重要です。

開業・リニューアル時に役立つ内装デザインの流れ

理想のカフェを実現するには、計画と段取りが欠かせません。
初めての方でも進めやすい手順をまとめました。

1. コンセプト・ターゲットの整理

まずは「どんなお客様に来てほしいか」「どんな体験を届けたいか」を、自分の言葉でしっかり書き出してみましょう。
ターゲットやお店の特徴を明確にすることで、これから決める内装やメニューの方向性がグッと定まり、迷いも減ります。

ここでコンセプトが固まれば、その後のプランニングや準備もずっとスムーズです。
まずは紙やPCを使って、思い描く理想をどんどん書き出してみてください。

2. 物件選びと現地調査

「立地はどこがいい?広さや家賃は?」といった条件を整理しながら、理想の物件を探しましょう。
気になる物件が見つかったら、必ず現地に足を運んで、実際の設備や配管、内装状態を自分の目で確認することが大切です。
また、居抜き物件かスケルトン物件かによって内装のプランや工事内容も大きく変わるので、専門家や業者にも積極的に相談しましょう。

ここで妥協せず、「この場所で本当に理想が叶うか?」をしっかり見極めることが成功への近道です。

3. 内装プランニング・レイアウト決定 

いよいよお店の雰囲気を具体的に決めていく段階です。プロのデザイナーや施工会社と相談しながら、自分の理想のイメージをしっかり伝えましょう。
動線や席の配置、照明、素材や色など、細かな部分まで遠慮せずに希望を出してみてください。
このタイミングで「どうしたらお客様が快適に過ごせるか?」を一緒に考えることで、より魅力的なお店に仕上がります。

4. 工事・インテリア選定

図面やデザインが決まったら、次は工事とインテリア選びです。実際に使う素材や家具、照明、食器や装飾品まで、細部にこだわって選びましょう。
DIYに挑戦するなら、どこを自分で手がけるかもこの段階で計画してみてください。ワクワクするお気に入りの空間を自分の手で作り上げていく喜びを感じられます。

5. 開業準備・装飾仕上げ

工事が終わったら、いよいよ仕上げです。
備品の搬入やディスプレイ、スタッフ研修など、細かな最終調整をしっかり行いましょう。
オープン前には、設備や装飾のチェック、保健所(食品衛生法に基づく施設検査)、消防署の検査も必ず済ませてください(2021年の法改正で飲食店営業許可に一本化)。

ここまできたらあと一歩。理想のお店を自信を持ってオープンしましょう!

参考:東京都保健医療局「営業許可・届出の概要」

理想のカフェ内装はタクトデザイン工房にお任せください!

カフェの内装デザインは、単なる空間づくりにとどまらず、
お店の世界観やブランドを表現し、お客様の心に残る体験を生み出す大切なプロセスです。

まずは「どんなカフェにしたいか」「どんな人に来てほしいか」を紙に書き出し、イメージを明確にすることから始めましょう。
迷ったときや客観的な意見がほしいときなどは、ぜひ弊社へご相談ください。

一歩ずつ準備を進めれば、自分らしい理想のカフェ空間を実現できます。
あなたのお店が、多くの人に愛される居心地の良い場所になることを願っています。

タクトデザイン工房は、店舗デザイン・設計・施工を一貫して対応し、物件探しからOPENまで伴走させていただきます。まずは計画の段階から、お店の物語と数字(動線・席数・工期・コスト)を一緒に整理しましょう。予算に合わせた最適な提案で設計施工しワンストップでスピーディーな開業を実現します。全国からのご相談に対応していますので、ぜひご相談ください。

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