脱構築主義:フランク・ゲーリー追悼
ダイナミックな空間デザイン
フランク・ゲーリーについて
ポストモダン建築の巨匠として、世界の建築界に革新をもたらしたフランク・ゲーリー氏。つい先日亡くなったということで、学生時代より彼の作品を見ていた私としては、ゲーリーに触れずにいられませんでした。
彼の作品といえば、例えばスペインのグッゲンハイム美術館(ビルバオ)に代表される、チタンやガラスを使った、流れるような、大胆な非対称のフォルムです。世界中に強烈なインパクトを与え、その影響は今も世界中に広がり続けています。
「それは建築の話で、内装とは関係ないのでは?」と思われるかもしれません。しかし、内装を手掛ける私たちにとって、ゲーリー氏の常識にとらわれない自由な発想こそが、お客様の暮らしに「ワクワクする非日常感」や「潜在的な空間のポテンシャル」をもたらすヒントに満ちています。
この記事では、ゲーリー建築の核心である「曲線と流動性」を、現代の住宅や商業施設のインテリアにどう翻訳し、取り入れるかを考えてまいります。
1. 視覚的な「停滞」をなくす:内装における流動性
ゲーリーの建築は、直線や直角という既存の常識を打ち破り、見る角度によって表情を変える「動き」を持っています。内装デザインでもこの流動性を取り入れることで、空間に躍動感と奥行きを生み出します。
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曲線を用いた壁面と天井: 全てを曲線にする必要はありません。例えば、リビングの壁の一部や天井のエッジに緩やかなカーブを設けるだけで、空間に柔らかな流れが生まれます。視覚的な圧迫感が減り、空間が広く感じられる効果もあります。
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非対称なアイランドカウンター: キッチンのアイランドカウンターや受付カウンターなどに、斜めや円形を大胆に採用。これは単なるデザインではなく、人の動線をよりスムーズにし、集まる人々に自然なコミュニケーションを促します。
2. 素材の「意外性」を楽しむ:常識にとらわれない組み合わせ
ゲーリーがチタンやメタリックな素材を大胆に組み合わせるように、内装でも素材の組み合わせにチャレンジすることで、唯一無二の空間が生まれます。
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異素材のコントラスト: 温かみのある木材(ウォールナットなど)と、クールな金属(ステンレスや真鍮)や、滑らかな光沢を持つレジン素材などを組み合わせます。このコントラストが、空間に緊張感と洗練されたモダンさを与えます。
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曲面に追従する素材の選定: 曲線デザインを採用する場合、継ぎ目が目立たないシームレスな素材(左官材、特殊塗装、柔軟な建材など)を積極的に使用し、ゲーリー氏の建築のような滑らかな一体感を表現します。
3. 空間の「潜在的なポテンシャル」を呼び覚ます
フランク・ゲーリー氏の哲学は、「建築はもっと自由でいい」というメッセージに集約されます。
内装のプロとして、私たちはこの「自由な発想と、常識に囚われないチャレンジ精神」をデザインの羅針盤とすることができるのではないでしょうか。
私たちが目指すのは、ただ美しい部屋をつくることではありません。
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動的な空間の提供: 曲線や非対称を取り入れることで、単調な箱型空間に「動き」と「遊び心」を注入します。
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空間の活性化: ゲーリー建築が街のランドマークとして人々の活動を促すように、お客様の住まいやオフィスにも、創造性やコミュニケーションを刺激するような、ダイナミックなポテンシャルを呼び覚まします。
直線で構成されがちな現代のインテリアに、ゲーリー氏の流動的な思想を取り込むことで、「なんとなく心地よい」ではなく、「ここにしかない刺激的な豊かさ」をお客様に提供します。
あなたの住まいやオフィスに隠された、最高の「遊び心」と「ポテンシャル」を、私たちと一緒にデザインしてみませんか?
