店舗の内装費用はいくらかかる?相場と賢い費用計画の立て方を解説
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店舗の開業準備で「内装費用はいくらかかるのか」という疑問は、ほとんどの経営者が最初にぶつかる壁です。内装費用は開業資金のなかでも大きな割合を占めるため、この金額次第で運転資金の余裕が変わり、開業後の経営に直接影響します。費用を抑えすぎれば来店されたお客様に安っぽい印象を与えてしまいますし、かけすぎれば資金繰りが苦しくなります。
この記事では、内装費用の相場から費用の抑え方、業者選びのポイントまで、経営者視点で解説します。
【この記事でわかること】
- 店舗の内装費用の全体像と費用が決まる仕組み
- スケルトン物件と居抜き物件の費用差と選び方
- 飲食店・美容室・物販店など業種別の坪単価相場
- 内装費用を賢く抑えるための実践的な方法
- 見積もり取得から着工までの流れと確認ポイント
店舗の内装費用の内訳と金額が決まる仕組み
内装費用は1つの大きな塊ではなく、いくつかの費目に分かれています。「内装費用」は「設計・デザイン費」、「内装工事費」、「設備工事費」、「什器・備品費」といった項目の合計費です。見積もりをもらったときに「内装費用」の合計費だけで判断するのではなく、内訳ごとに適正かどうかを確認することが、費用を最適化する第一歩です。ここでは主要な4つの費目について、それぞれの内容と費用の目安を整理します。
設計・デザイン費
店舗のコンセプトをもとに図面やパースを作成する費用です。坪単価で3万〜10万円程度が目安となります。設計とデザインを別々の会社に依頼すると、それぞれに費用が発生するため、一括で依頼できる会社を選ぶと費用を抑えやすくなります。
内装工事費
壁・床・天井の仕上げ、塗装、造作工事など内装部分にかかる費用です。工事費は物件の状態によって大きく変動し、スケルトン物件(何もない状態)の場合は下地工事から必要になるため、居抜き物件に比べて高額になります。
設備工事費
電気・ガス・水道・空調・換気設備の工事費です。飲食店は厨房設備に関わるガスや給排水の工事が多くなるため、他の業種と比べて設備工事費が高くなる傾向があります。
什器・備品費
家具、照明器具、看板、ショーケースなど、空間を構成する備品の費用です。既製品を活用するか、オーダーメイドで制作するかによって金額の幅が大きく変わります。
| 費目 | 内容 | 目安(坪単価) |
|---|---|---|
| 設計・デザイン費 | 図面作成、パース、コンセプト設計 | 3万〜10万円 |
| 内装工事費 | 壁・床・天井の仕上げ、造作 | 物件状態により変動 |
| 設備工事費 | 電気・水道・ガス・空調・換気 | 業種により変動 |
| 什器・備品費 | 家具、照明、看板、ショーケース | 仕様により変動 |
物件タイプ別に見る内装費用の相場
内装費用を大きく左右する要因の1つが、物件のタイプです。スケルトン物件と居抜き物件では、必要な工事の範囲がまったく異なるため、費用にも大きな差が出ます。物件選びの段階でこの違いを理解しておくと、予算計画の精度が上がり、資金調達や融資の計画も立てやすくなります。それぞれの特徴と費用の目安を見ていきましょう。
スケルトン物件の費用相場
スケルトン物件とは、内装が何もない状態(コンクリートむき出し)の物件です。壁・床・天井の下地工事から設備の配管まですべてを施工する必要があるため、費用は高くなります。坪単価の目安は30万〜80万円程度です。自由な設計ができる点がメリットですが、予算管理をしっかり行わないとコストが膨らみやすい点に注意が必要です。
居抜き物件の費用相場
居抜き物件とは、前のテナントが使っていた内装や設備がそのまま残っている物件です。使える設備を引き継ぐことで工事範囲を減らせるため、坪単価の目安は15万〜50万円程度に抑えられます。ただし、前テナントの業種が自分の業種と大きく異なる場合は、結果的にスケルトン物件と同程度の工事が必要になることもあります。物件選びの段階で、残っている設備が自分の業態に合うかを確認することが重要です。
以下は一般的な目安であり、地域・坪数・設備条件・デザイン水準によって大きく変動します。
| 物件タイプ | 坪単価の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| スケルトン物件 | 30万〜80万円 | 自由度が高い反面、工事費用が高額になりやすい |
| 居抜き物件 | 15万〜50万円 | 設備を引き継ぐことで費用を抑えやすいが、業種の適合確認が必要 |
業種別に見る内装費用の坪単価と費用が変わる要因
内装費用は業種によって必要な設備や仕上げが異なるため、坪単価に差があります。飲食店は厨房設備や換気設備が必要ですし、美容室はシャンプー台の給排水配管が費用に影響します。物販店は設備工事が少ない分、内装の素材や什器にどこまでこだわるかで金額が変わります。ここでは、主な業種ごとの費用目安と、費用が変わる要因を整理します。
飲食店の内装費用
飲食店は厨房設備(コンロ、シンク、冷蔵庫、フライヤーなど)や給排水設備、換気設備が必要になるため、他の業種と比べて費用が高くなりやすい業種です。居抜き物件で坪単価30万〜60万円、スケルトン物件で50万〜80万円が目安となります。ラーメン店のように大量の蒸気を排出する業態や、焼肉店のように各テーブルに排煙設備が必要な業態は、さらに費用が上がる傾向があります。
美容室・サロンの内装費用
美容室はシャンプー台やセット面ごとの給排水配管、大型ミラー、照明設計が費用を左右します。居抜き物件で坪単価25万〜50万円、スケルトン物件で40万〜60万円程度が目安です。セット面の数やシャンプー台の位置によって配管工事の規模が変わるため、レイアウトの段階で費用への影響を確認しておくことが大切です。
物販・アパレルの内装費用
物販店やアパレル店は、厨房設備や給排水工事が不要な分、飲食店や美容室に比べて費用を抑えやすい業種です。居抜き物件で坪単価20万〜40万円、スケルトン物件で30万〜50万円が目安となります。ただし、ブランドイメージを表現するための素材のグレードや、什器のオーダーメイド費用が加わると金額が上がることもあります。
以下は一般的な目安であり、店舗の規模・立地・設備条件によって変動します。
| 業種 | 居抜き(坪単価目安) | スケルトン(坪単価目安) | 費用が変わる主な要因 |
|---|---|---|---|
| 飲食店 | 30万〜60万円 | 50万〜80万円 | 厨房設備、給排水、換気設備 |
| 美容室・サロン | 25万〜50万円 | 40万〜60万円 | シャンプー台数、給排水配管 |
| 物販・アパレル | 20万〜40万円 | 30万〜50万円 | 素材グレード、什器のオーダー |
内装費用を賢く抑えるための実践的な方法
費用を抑えることは重要ですが、「安さ」だけを追求して品質が下がってしまっては本末転倒です。お客様が直接目にする空間の仕上げを維持しながら、物件選び、発注方法、素材の使い分けなどの工夫で無理なくコストを削減する方法があります。ここでは、品質を落とさずに費用を最適化できる実践的な方法をご紹介します。
同業種の居抜き物件を活用する
費用を大幅に削減できる方法として、同じ業種の居抜き物件を選ぶことが挙げられます。たとえば飲食店を開業する場合、前のテナントも飲食店であれば厨房設備や給排水設備をそのまま使えると、数百万円単位のコストカットにつながります。物件選びの段階で、残存設備の状態と自分の業態との適合性を必ず確認しましょう。
設計と施工を一括で依頼する
設計会社と施工会社を別々に依頼すると、それぞれに管理費や調整費がかかるうえ、設計意図が施工現場に正確に伝わらないリスクがあります。設計から施工までを一括で依頼できる会社を選ぶとスムーズに進みやすくなるでしょう。
お客様の目に触れにくい部分のグレードを見直す
バックヤードやスタッフルーム、倉庫など、お客様の目に触れにくい場所の素材グレードを見直すことで、見た目の印象を損なわずに費用を抑えられます。一方で、客席やエントランスなどお客様が直接目にする場所には、しっかり予算を配分することが大切です。
補助金・助成金を活用する
店舗の開業時に利用できる補助金や助成金が存在します。たとえば「小規模事業者持続化補助金」は、販路開拓等に資する取組を支援する制度で、店舗改装が販路開拓に該当する場合は委託・外注費などの対象経費として認められることがあります。
内装業者の選び方と見積もりの確認ポイント
費用の最適化は、業者選びの段階から始まっています。信頼できる業者を選ぶことで、工事中の追加費用や手戻りを防ぎ、結果的にトータルコストを抑えることにつながります。見積もりの比較や契約前の確認を丁寧に行えば、予算オーバーのリスクを大幅に減らせます。ここでは、施工実績の確認方法から見積書の読み方、追加費用の防ぎ方まで、業者選びで押さえておきたいポイントを解説します。
自分の業種の施工実績があるかを確認する
飲食店には飲食店特有の設備基準やオペレーション上の配慮が必要ですし、美容室には美容室ならではの動線設計があります。自分と同じ業種の施工実績が豊富な業者であれば、設計段階から現実的な提案を受けやすく、施工中のトラブルも起こりにくくなります。
見積書の内訳を項目ごとに確認する
見積書が「内装工事一式 ○○万円」とだけ記載されている場合は注意が必要です。設計費、工事費、設備費、什器費、諸経費など、項目ごとに金額が分かれている見積書のほうが、内容の妥当性を判断しやすくなります。不明な項目があれば、遠慮なく質問しましょう。
追加費用の発生条件を事前に確認する
工事が始まってから追加費用を請求されるケースがあります。契約前に、どのような場合に追加費用が発生するのか、その際の承認フローはどうなっているのかを確認しておくと、予算オーバーのリスクを減らせます。
開業後に後悔しないための費用計画チェックリスト
内装費用は開業資金の一部であり、物件取得費用や運転資金とのバランスが重要です。内装にすべての資金を使い切ってしまうと、開業直後の運転資金が不足し、経営が苦しくなるリスクがあります。開業準備では内装以外にも不動産取得費、備品購入費、広告宣伝費など多くの支出項目があるため、全体を見渡した費用計画が欠かせません。以下のチェックポイントで、費用計画に抜け漏れがないか確認しましょう。
費用計画で見落としやすい項目
- 不動産取得費用(保証金、礼金、仲介手数料、前家賃)
- 設備・備品の購入費用(厨房機器、レジ、家具)
- 開業前の広告宣伝費
- 開業後3〜6か月分の運転資金(家賃、人件費、仕入れ)
- 各種届出や許認可にかかる費用(飲食店の場合は保健所への飲食店営業許可申請、消防署への防火対象物使用開始届出、用途変更部分が200平方メートルを超える場合は建築基準法上の確認申請などが必要になる場合があります)
費用配分のバランスを確認する
内装費用が開業資金全体の50%を超えている場合は、運転資金とのバランスを見直すことをおすすめします。内装費用を適正な範囲に収め、開業後の運転資金に余裕を持たせることが、安定した経営の第一歩です。設計の段階で予算の上限を明確に伝え、その範囲内でのプランを提案してもらうようにしましょう。
店舗の内装費用でお悩みならタクトデザイン工房にご相談ください
店舗の内装費用は、物件タイプ、業種、規模、仕上げのグレードなど、さまざまな要因で変動します。「自店舗はいくらかかるのか」を正確に把握するには、条件をもとにプロに相談するのが近道です。当社タクトデザイン工房は、一級建築士事務所として名古屋・東京・大阪を拠点に全国の店舗設計・施工を手がけており、6,000件を超える実績があります。デザインから設計・施工まで一貫対応しているため、設計と施工を別々に依頼する場合に比べると費用管理もしやすく、安心して進めていただけます。予算に応じた最適なプランをご提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
