はじめての建築展で出会った、忘れられない建築
こんにちは。タクトデザイン工房のココです。
今日は少し、個人的な体験について書いてみたいと思います。
実はこの建築は、私にとって初めて訪れた建築展で出会ったものです。
今から3年ほど前、東京で開催されていた
ヘザウィック・スタジオの展覧会を訪れました。
当時は、まだインテリアや建築の仕事を本格的にしていたわけではなく、
ただ「空間」というものに興味があり、
建築家の考え方を少し知ってみたい、そんな気持ちで会場に足を運びました。
展示室に入ってすぐ、
この建築模型が自然と目に留まりました。
一番大きな模型でもなく、
一番目立つデザインというわけでもありません。
それでも、なぜか視線が戻ってきてしまう。
不思議と、長い時間その場に立って眺めていたのを覚えています。
大規模な都市開発の計画でありながら、
どこか冷たさを感じさせず、
やわらかく重なり合う形や、緑の入り方がとても印象的でした。
「建物」というよりも、
人が歩き、立ち止まり、日常が入り込む場所のように感じられたのです。
背景にそびえる高層タワーよりも、
私の目はいつも、
低層部分のテラスや、人のスケールに近い空間に引き寄せられていました。
当時は、なぜそこまで惹かれるのか、
うまく言葉にすることはできませんでした。
ただ、感覚的に「いいな」と思っていただけだったと思います。
その後、実際にこの建築を外から見たとき、
展示で感じた印象が、さらに強くなりました。
街の中での見え方や、人との距離感がとても心地よく、
「建築には、こんな考え方や工夫があるんだ」と
学ぶことの多い建物だと感じました。
建築には、
まだ知らない視点や、気づいていなかった工夫が
たくさん詰まっている。
この建築は、そんなことを静かに教えてくれました。
それから3年が経ち、
インテリアと建築の仕事に関わるようになった今、
あのとき感じた魅力が、少しずつ言葉にできるようになってきました。
ヘザウィック・スタジオの建築は、
形の美しさだけでなく、
人の動きや、過ごし方、感じ方を大切にしているように思います。
外と中、建築とインテリアの境界がゆるやかにつながり、
大きな都市の中でも、空間がとても人間的に感じられるのです。
振り返ってみると、
この展覧会は、静かに、でも確かに、
今の私の空間の考え方に影響を与えていました。
はじめての建築展だったからこそ、
この建築が、今も心に残っているのかもしれません。
