言葉をまとう建築
皆さん、こんにちは。
タクトデザイン工房のココです。
今回は、大阪・関西万博を訪れた際に見た
中国パビリオンについてお話ししたいと思います。
会場の中でも、ひときわ印象に残ったのが、
外壁一面に文字が刻まれた、この建築でした。
遠くからでも強い存在感がありますが、
近づくにつれて、その印象はより静かで、深いものへと変わっていきます。
ファサードに刻まれた「言葉」
この建築の最大の特徴は、
木のような質感をもつ外壁に刻まれた、無数の文字です。
装飾として文字を使うのではなく、
建築そのものが言葉をまとうような構成に、強いメッセージ性を感じました。
文字は情報であると同時に、
文化や歴史、思想を内包する存在でもあります。
それらを建築の表層として表現することで、
このパビリオンは、外観だけで多くのことを語っているように感じました。
重厚さと開放感のバランス
外観は重厚で力強い印象を持ちながらも、
建物全体はどこか開かれた雰囲気を感じさせます。
大きな庇のような屋根
縦のラインが強調された構成
人を自然に引き込むエントランス
それらが組み合わさることで、
威圧感ではなく、受け入れるような空気感が生まれていました。
建築が伝える文化のかたち
万博のパビリオンは、
単なる展示空間ではなく、
それぞれの国の価値観や姿勢を建築として表現する場でもあります。
中国パビリオンは、
技術や未来像を強く打ち出すのではなく、
言葉と素材を通して、文化の厚みを伝える建築だと感じました。
建築がメディアとなり、
訪れる人に静かに問いかけてくるような存在です。
最後に
文字を読み取らなくても、
そこに刻まれている「時間」や「思想」は、
空間を通して自然と伝わってきます。
中国パビリオンは、
派手さではなく、積み重ねによって印象に残る建築でした。
建築がどのように文化を語れるのか。
そのひとつの答えを見せてもらったように感じます。
