飲食店の内装デザインで失敗しない考え方

【この記事でわかること】
- 飲食店の内装デザインで最初に決めたい考え方
- 客席、厨房、スタッフ動線を同時に考える理由
- 見た目の雰囲気と使いやすさを両立させる内装のポイント
- 法規、設備、音、メンテナンスで見落としやすい点
- 内装会社へ相談する前に整理しておきたい条件
飲食店の内装デザインを考えるとき、まず気になるのは「おしゃれに見えるか」「写真映えするか」でしょう。ただ、実際に営業が始まると、厨房から客席までの動きやすさ、清掃のしやすさ、音の響き、席数とゆとりのバランスなど、日々の運営に関わる部分がじわじわと効いてきます。
私たちは一級建築士事務所として、店舗デザインから設計、施工までを手がけています。飲食店の内装では、見た目の印象はもちろん、開業後にスタッフが無理なく動けるか、お客さまが心地よく過ごせるか、限られた予算のなかで何に優先的にお金をかけるかを大切にしています。
初めての出店では、どこにお金をかけ、どこを抑えるか迷うものです。飲食店は厨房設備、排気、給排水、客席づくりが絡み合い、後から変えにくい部分が多くあります。だからこそ、見た目の方向性と合わせて、開店後の動きやすさや維持管理を考慮して内装を考えることが大切です。早い段階で整理しておくほど、後戻りが少なくなります。
飲食店の内装デザインはコンセプトと運営の両方から考える
飲食店の内装は、料理のジャンルや価格帯だけでは決まりません。誰に来てほしいのか、どの時間帯に強い店にしたいのか、客単価や回転をどう考えるかによって、客席のつくり方や照明、素材、厨房との距離感が変わってきます。
料理や世界観を空間の判断軸にする
内装のテイストを決める前に、まず店の軸を言葉にしておくことが大切です。カジュアルに立ち寄れる店なのか、記念日にも使える店なのか。短時間で回転させたいのか、ゆっくり過ごしてもらいたいのか。ここが曖昧なまま素材や色を選ぶと、見た目は整っていても、実際の使われ方と空間がちぐはぐになります。
たとえば、昼はランチ、夜はお酒も出す店なら、昼と夜で照明の見え方を変える工夫が要ります。カウンター中心の店では、厨房の見え方やスタッフとの距離感がそのまま店の印象になります。個室や半個室を設けるなら、席ごとの落ち着きとスタッフの目配りのしやすさを両立させなければなりません。
初期費用だけでなく開店後の使いやすさまで見る
飲食店の内装費用は、工事内容、厨房設備、給排気、給排水、電気容量、物件の状態で大きく変わります。費用を抑えたくて仕上げだけを削ると、後になって清掃しにくい、追加工事が要る、スタッフの移動に時間がかかるといった負担が残ることもあります。
優先順位をつけるときは、営業に直結するものから確認します。厨房と客席の動線、空調、換気、照明、床や壁の耐久性などです。装飾は後から足すことができますが、設備や配管、厨房の区画は後から変えにくい部分です。設計の最初の段階で、変えにくいものから固めていきましょう。
客席・厨房・スタッフ動線を先に整える
飲食店では、内装の印象と同じくらい動線が大切です。お客さまが入店してから着席、注文、会計、退店するまでの流れと、スタッフが厨房、配膳、下げ膳、レジ、バックヤードを行き来する流れが重なります。ここの計画が甘いと、営業中の小さなストレスが日に日に積み重なっていきます。
客席数と通路幅を数字だけで決めない
席を増やせば売上の可能性は広がりますが、通路が狭くなると配膳や片付けがしにくく、お客さまも落ち着きません。椅子を引く動作、荷物を置く場所、ベビーカーや大きな荷物を持った来店、ピーク時のすれ違い。こうした場面まで想像すると、テーブルを詰め込むだけでは快適な店にはなりません。
客席の計画では、以下の点を最初に整理しておくとレイアウトの判断がしやすくなります。
| 店舗状況 | 確認事項 |
|---|---|
| 想定する来店人数 | テーブル席、カウンター席、個室の比率 |
| 滞在時間 | 座席のゆとり、照明の明るさ、素材感 |
| ランチとディナーの営業状況 | 席の回転、会計動線、入口まわり |
| スタッフ人数 | 配膳経路、下げ膳経路、バックヤード |
| 予約や待合の有無 | 受付、待合、外部サイン |
厨房と客席を別々に考えない
厨房は調理のしやすさだけでなく、客席との関係も大切です。オープンキッチンにすると調理のライブ感が魅力になりますが、その分、におい、音、熱、収納の見え方まで計画しなくてはなりません。厨房を見せない場合でも、配膳口や下げ膳の位置が悪いとスタッフの移動距離が長くなります。
飲食店では衛生管理や清掃のしやすさも内装に関わります。床材、壁材、巾木、厨房まわりの納まり、水まわりの位置などは、見た目だけで選ぶと日々の清掃に手間がかかりがちです。営業後の動きを想定しながら、耐久性とメンテナンスのしやすさも見ていきましょう。
タクトデザイン工房が手がけた飲食店内装の事例
タクトデザイン工房が設計・施工を手がけた飲食店のなかから、内装で意図したことが伝わりやすい3店舗をご紹介します。業態によって優先する要素が変わるため、それぞれの店で素材・照明・客席のつくり方をどう組み立てたかを当社の視点でお伝えします。
事例1:HeartBreadANTIQUE イオンモール東員店様

HeartBreadANTIQUE イオンモール東員店様の販売エリアは、ダイヤ柄の装飾天井とアーチ形の波形装飾を組み合わせ、商品を選ぶ時間そのものが「楽しい体験」になることを意識しました。床はヘリンボーン柄のフローリング調にし、商業施設の共用部とは雰囲気を切り替えて、店内へ一歩入った瞬間に世界観が変わるよう設計しています。ショーケースの高さは、商品が見やすくスタッフの動きも止まらない位置に調整しました。
HeartBreadANTIQUE イオンモール東員店様の事例詳細を見る
事例2:カフェハナモリ 伊豆長岡店様

カフェハナモリ 伊豆長岡店様では、メインホールは天井を高くとり、提灯型の白いペンダント照明を吊って、視線が上に抜ける開放感をつくりました。腰高の木製格子で客席ゾーンをやわらかく仕切り、テラゾー床と木テーブルを組み合わせて、明るすぎず暗すぎない落ち着いた印象に整えています。
事例3:もうやんカレー池袋店様

もうやんカレー池袋店様の客席ゾーンの天井には、波形にカットした木材を流れるように吊り下げ、配管がむき出しのスケルトン天井をあえて見せながら、有機的なリズムを与えました。中央にはミラーボールを下げ、ライブ感と非日常感を両立させています。壁面には大胆なグラフィック壁画を配し、料理が運ばれてくるまでの時間も「視覚的に楽しめる空間」になるよう構成しました。
設備・音環境を後回しにしない
飲食店の内装では、デザイン案が固まった後に設備や法規を確認すると、やり直しが大きくなることがあります。火気を使う厨房、排気、給排水、電気容量、空調、消防、内装制限など、物件ごとに確認しなければならない条件があります。
物件選びの段階で設備条件を見る
同じ広さの物件でも、飲食店に向いているかどうかは設備条件しだいです。給排水の位置、ガスや電気の容量、排気経路、グリストラップの有無、空調の状態、天井裏や床下の余裕は、そのまま工事費と計画に跳ね返ります。居抜き物件でも、前の店の設備がそのまま使えるとは限りません。
私たちは物件探しからOPENまでサポートできる体制を整えています。物件を決める前に内装の視点で確認しておけば、契約してから「想定より工事が大きい」と気づくリスクを減らせます。
音とにおいは体験の質を左右する
飲食店では、会話、食器の音、調理音、BGM、人の出入りなど、さまざまな音が重なります。反響が強いと会話がしにくく、静かすぎてもかえって落ち着きません。床、壁、天井、家具、間仕切り、客席の配置を工夫して、店の雰囲気に合う音環境をつくることが大切です。
においも同じです。調理の香りを魅力にしたい店もあれば、客席に残りすぎないようにしたい店もあります。厨房の位置、排気、空調、席の配置をあわせて考えれば、料理の魅力と居心地のよさを両立しやすくなります。
内装デザイン会社へ相談する前に準備したいこと
相談する前にすべてを決めておく必要はありません。ただ、店の方向性や条件が整理されているほど、初回の打ち合わせで話が具体的に進みます。ぼんやりしたイメージでも、言葉や写真にしておけば、優先順位を一緒に整理できます。
店の使われ方を伝えられるようにしておく
まず整理したいのは、店がどう使われるかです。ランチ中心か、ディナー中心か。テイクアウトに力を入れるのか、予約制にするのか。ひとり客が多いのか、グループ利用が中心か。これらは客席のつくり方や厨房の広さ、受付、待合、会計の動線に関わってきます。
次に、営業に必要な機器とオペレーションを確認します。調理機器、冷蔵・冷凍設備、洗い場、収納、ゴミ置き場、スタッフの着替えスペース、搬入経路、開店準備と閉店作業の流れです。内装は見える部分だけでなく、裏側の使いやすさで毎日の営業が楽にも大変にもなります。
店の使われ方や必要オペレーションを内装デザイン会社に言葉や図、イメージイラストなどを用いて伝えられると、大切にしたい店内イメージや作業オペレーションの効率向上の実現につながります。
予算と開業時期は早めに共有する
予算を伝えることに抵抗を感じる方もいますが、内装の計画では早い段階で共有してもらったほうが現実的な提案ができます。こだわる部分と抑える部分を分けられれば、限られた予算でも店の軸を守りやすくなります。
開業時期も同様です。設計、見積もり、契約、着工、検査、引き渡し、什器やサインの準備には順番があります。希望日に間に合わせるには、どの時点で何を決めなければならないかを逆算しておくことが大切です。
タクトデザイン工房ができること
タクトデザイン工房では、店舗のデザイン、設計、施工を一貫して手がけています。外観や内装、インテリアにとどまらず、看板、ロゴデザイン、広告制作、オリジナル什器やオーダーメイド家具まで、店舗の見え方に関わるものをトータルで考えます。
物件探しからOPENまで伴走する
飲食店の内装は、物件を決めてから始まるものではありません。物件の設備条件や工事のしやすさは、内装費用にも開業スケジュールにも直結します。私たちは、物件探しから現場調査、コンセプトの打ち合わせ、デザイン・設計、見積もり、工事、OPENまでの流れを一緒に伴走します。
タクトデザイン工房の新規店舗開業サポートでは、物件探しからOPENまでの支援について確認できます。ぜひご覧ください。
飲食店の業態に合わせて設計・施工を考える
同じ飲食店でも、カフェ、レストラン、焼肉店、料亭、ラーメン店、バーなど、必要な設備も客席の見せ方も違います。厨房を見せるのか隠すのか、滞在時間を長くしたいのか回転を意識するのか、席の距離感をどうするか。業態に応じて、デザインと運営の両面から考えていきます。
飲食店の内装デザインは当社にご相談ください
飲食店の内装デザインは、コンセプト、席数、厨房、設備、素材、法規、予算、スケジュールをひとつずつ調整し、理想の店舗につなげていきます。見た目だけで進めると、営業後に動きにくさやメンテナンスの悩みが残る場合があります。逆に機能だけで決めると、店の魅力がお客さまに伝わりにくくなります。
当社タクトデザイン工房は、一級建築士事務所として名古屋・東京・大阪を拠点に全国の店舗設計・施工を手がけており、6,000件を超える実績があります。デザインから設計・施工まで一貫対応しているため、設計と施工を別々に依頼する場合に比べると費用管理もしやすく、安心して進めていただけます。予算に応じた最適なプランをご提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
