武居三省堂
こんにちは。
タクトデザイン工房のココです。
江戸東京たてもの園を歩いていると、
ひときわ目を引く建物がもう一つありました。
それが、武居三省堂です。
武居三省堂は、
1927年(昭和2年)に建てられた文具店で、
当時の商店建築の特徴をよく残しています。
まず印象に残るのは、
外壁のやわらかな緑色です。
この色は塗装ではなく、
銅板が時間をかけて変化したもの。
素材が年月を重ねて、
建物の表情になっていることがよくわかります。
建物全体は、
西洋建築のデザインをベースにしながらも、
どこか親しみやすさがあります。
正面の構成や窓の並び方には、
商店としてのわかりやすさと、
街に開かれた雰囲気が感じられました。
近くで見ると、
外壁の模様や窓まわりの細かなつくりなど、
とても丁寧につくられていることがわかります。
大きな建築ではありませんが、
一つひとつのディテールに、
当時のものづくりの姿勢が表れています。
今の時代の店舗は、
看板やロゴで印象をつくることが多いですが、
武居三省堂は、
建物そのものが店の顔になっています。
素材や形だけで、
記憶に残る存在感を持っているところが印象的でした。
この建物を見ていると、
商いの場であっても、
街の風景としてどう在るかを
大切にしていたことが伝わってきます。
静かですが、
長い時間を経て培われた魅力のある建築。
そんな建物が今も大切に残されていることに、
あらためて価値を感じました。
