重力
こんにちは。
タクトデザイン工房のココです。
以前訪れた展示の中で、
今も印象に残っている立体があります。
一見すると、
照明のようにも見えるこの立体。
でもこれは、
装飾でも、アート作品でもありません。
サグラダ・ファミリアの建築を生み出した「考え方」そのものです。
ガウディは、図面よりも「重さ」を信じた
アントニ・ガウディは、
建築を考えるとき、
紙の上の図面だけに頼りませんでした。
彼が使ったのは、
糸と、おもり。
糸を天井から吊り、
そこに重さを加えると、
糸は自然に、いちばん無理のないカーブを描きます。
人が計算しなくても、
重力が勝手に
「正しい形」をつくってくれる。
ガウディは、
この形を上下反転させて、
実際の建築に使いました。
形が美しい理由は、「デザイン」ではない
サグラダ・ファミリアの柱や天井は、
植物のようで、
鍾乳石のようでもあります。
でもそれは、
自然っぽく見せようと
デザインしたからではありません。
構造的にいちばん合理的な形が、
結果として自然に近かっただけ。
つまり、
美しさは、あとからついてきたもの
ということです。
未完成でも、建築が続いていく理由
サグラダ・ファミリアは、
今もなお建設が続いています。
それでも成立しているのは、
最初からすべてを決めきらず、
考え方だけを、未来に残した建築だからだと思います。
この模型は、
「こう作りなさい」という答えではなく、
「こう考えなさい」というヒント。
だからこそ、
時代が変わっても、
建築が更新され続けているのだと感じました。
建築は、描くものではなく「起こるもの」
この展示を見ていて、
建築は必ずしも
人がコントロールするものではないのかもしれない、
と思いました。
光、重力、素材、時間。
それらに耳を傾けて、
形が生まれるのを待つ。
ガウディの建築は、
とても原始的で、
同時にとても未来的です。
インテリアや建築を考えるとき、
つい「デザイン」や「見た目」に
意識が向いてしまいますが、
その前にある
考え方や姿勢こそが、
空間の質を決めているのだと思います。
サグラダ・ファミリアは、
完成していなくても、
すでに多くのことを
私たちに教えてくれる建築でした。
タクトデザイン工房のココでした。
それでは、また次のブログでお会いしましょう 🌿
