A Familiar Detail
もうひとつの、サグラダ・ファミリアの傑作
こんにちは。
タクトデザイン工房のココです。
もうひとつの、
サグラダ・ファミリアの傑作だと感じたものがあります。
展示室の中で、
静かに置かれていたこの立体。
派手さはありませんが、
とても強い存在感がありました。
これは「柱の装飾」ではありません
一見すると、
彫刻のようにも見えるこの形。
でもこれは、
装飾のためにつくられたものではありません。
サグラダ・ファミリアの内部で、
柱がどのように天井を支えているのかを考えるための、
構造模型です。
柱が、木のように成長する建築
サグラダ・ファミリアの内部に入ると、
柱がまっすぐ立っていないことに気づきます。
床から立ち上がった柱は、
上に行くにつれて形を変え、
やがて枝分かれし、
天井へとつながっていきます。
この立体は、
その「柱から天井へ移行する部分」を
切り取ったものです。
力の流れが、そのまま形になる
ガウディの建築では、
構造とデザインが分けられていません。
どこに力がかかり、
どう流れていくのか。
その結果として、
この独特な形が生まれています。
だからこそ、
植物や骨のような、
自然に近い印象を受けるのだと思います。
目に見えない構造が、空間の印象をつくる
このような構造は、
普段あまり意識されることはありません。
でも実際には、
天井の高さや、
空間の広がり、
あの独特な「森の中にいるような感覚」を
支えているのは、
こうした柱のかたちです。
インテリアや建築は、
目に見える部分だけでなく、
その奥にある構造によって
印象が大きく左右されます。
サグラダ・ファミリアが特別な理由
この立体を見て改めて感じたのは、
サグラダ・ファミリアが
単なる大聖堂ではない、ということ。
構造そのものが、
空間の体験をつくり、
美しさにつながっている。
だからこそ、
完成していなくても、
人を惹きつけ続けているのだと思います。
建築を考えるとき、
「見せるデザイン」だけでなく、
「支える形」に目を向けることで、
空間の見え方は大きく変わります。
この立体は、
そのことを静かに教えてくれる、
もうひとつのサグラダ・ファミリアの傑作でした。
