余韻のある空間
こんにちは。
タクトデザイン工房のココです。
ワインとジェラートを扱う小さなお店を訪れました。
とてもシンプルな空間なのに、不思議と長く記憶に残る場所でした。
このお店の内装や装飾は、とても静かです。
派手な色も、過剰なデザインもありません。
左官仕上げの壁、抑えられた素材感、そして柔らかい照明。
その佇まいは、ワインやジェラートが持つ性格とよく似ていると感じました。
ワインもジェラートも、
一口目のインパクトよりも、
口の中でゆっくりと広がる香りや余韻が大切なものです。
この空間も同じで、
最初に強く主張することはありませんが、
時間を過ごすほどに心地よさが増していきます。
大きな開口部とカウンターは、
店内と街との境界を曖昧にし、
外にいる人も自然とこの空間の一部になります。
ワインを飲む人、ジェラートを味わう人、
それを外から眺める人。
それぞれが無理なく共存する風景が、とても美しく感じられました。

内装や装飾は、主役になる必要はありません。
むしろ、ワインやジェラートの魅力を
静かに引き立てる「背景」であることが重要です。
このお店は、
「何を売るか」だけでなく、
「どんな時間を過ごしてほしいか」まで
丁寧に考えられている空間だと感じました。
建築やインテリアは、
味覚や記憶とも深くつながっている。
そんなことを、あらためて実感した場所でした。
