記憶に残る空間とは|歴史的建築から学んだデザインのヒント
皆さま、こんにちは。
タクトデザイン工房のココです。
今日は、名古屋市役所のすぐ隣で出会った、
ひときわ印象的な建築についてお話ししたいと思います。
名古屋市役所へ向かう途中、道の向こう側にそびえる建物の佇まいが、なぜか心を引きつけました。
はじめて見るのに、どこか見覚えのあるような、ヨーロッパの街並みを思い浮かべるような佇まい。
その建物こそが 愛知県庁本庁舎 です。
ひと目で感じる、重厚で落ち着いた佇まい
この建物を見た瞬間、なぜか 懐かしさ を感じました。
それは、単に古い建物だからではなく、
その佇まいが ヨーロッパの公共建築のように落ち着きと品格を持っていたから だと思います。
建物は左右対称で堂々としながら、素材や細部に日本らしさが静かに混ざっています。
茶色のレンガと淡い色の石材がリズムをつくり、
正面の塔屋はどこかクラシックな時計塔のようで、
重厚でありながらも柔らかな表情を見せています。
和の要素と西洋の形式のちょうどよいバランス
この建物は1938年に建てられたもので、
いわゆる「帝冠様式(ていかんようしき)」と呼ばれる様式の一つです。
帝冠様式とは、
-
外観は西洋的な建築構成や比例感を持ちながら、
-
屋根や細部に日本の伝統的な意匠を取り入れたもの。
このバランスは、
「西洋建築の力強さ」と
「日本の文化と環境に馴染むやわらかさ」
のちょうど中間にあります。
だからこそ、この建物を眺めると
ヨーロッパの古い建築のような安心感
と同時に
日本の街の風景に溶け込む居心地の良さ
の両方を感じるのだと思います。
建築が、街の時間をつくる
この建物が持つ落ち着いた表情は、
単に古いからではありません。
細かな装飾や素材使いは決して派手ではなく、
それが逆に、時の重みや静けさを感じさせてくれます。
建築は完成した瞬間がゴールではなく、
時とともに使われ、受け入れられてこそ価値が生まれるのだ
ということを、改めて教えてくれるようでした。
そして、隣にある名古屋市役所と並んで立つことで、
ここ一帯の街並み全体が
ゆっくりとした時間を纏っているようにも感じられました。
現代の建築と何が違うのか
近年の建築は、技術や素材の進化によって
より自由で大胆な表現が可能になっています。
しかし、こうした歴史ある建物の良さは、
単に「見た目の美しさ」だけではありません。
-
そこに流れる時間の感覚
-
人が集まるときの居心地
-
まちと建物の空気のつながり
こうした「見えない価値」が、
長い年月を経てもなお人を惹きつける理由なのだと思います。
最後に
この愛知県庁本庁舎は、
一見すると重厚で静かな建築ですが、
そこで感じる体験はとてもやさしく、
ゆっくりと空間に浸りたくなるものでした。
建築は、単に形や装飾だけではなく、
時代や場所、人の生活とともに
価値を育んでいくものなのだと、
この建物を見て改めて感じました。
そして、そんな空間づくりの考え方は、
私たちがこれから設計していく上でも
大切にしていきたいことの一つです。
